甘いキスに酔わされたのは、お前か俺か…


Birthday Night


 アルコールの所為か、気分の高揚の所為か、心持ち赤らんだ頬に、潤んだ瞳。
 ベッドの上で無防備に手足を伸ばし、俺を見るその女は、まるで俺を誘惑する小悪魔。

「なんだ、もう眠いのか?」
「眠くなんてないよ」

 傍らに座り、頬に手を添えると、自分から猫のように擦り寄ってくる。

「ククッ、珍しく甘えてくるな」
「良いでしょ別に。誕生日なんだし」
「そうだな。誕生日なんだし?」

 フイと顔を背ける仕草にまた小さく笑えば、何が可笑しいのかと咎められる。
 つくづく、可愛い奴だ、そう思う。

「別に?その減らず口を黙らすにはどうするか、考えてただけだ」
「悪かったわね、減らずぐ…んむっ?!」

 顎に手を置き上向かせると、言い掛けた言葉ごと奪ってやった。
 素直じゃない言葉とは反対に、少しつつけば自ら絡み付く熱い舌。

「んっ、ふぅ…」

 最後に口にした、シャンパンとチョコレートが甘く香る。
 熱い吐息を吐きながら、名残惜しげなリップ音を響かせ唇を離せば、飲み込みきれなかったのだろう、唾液が顎を伝う。
 煽情的なその光景に、体が熱くなるのを感じた。

「誕生日は、まだこれからだろう?たっぷりと、祝ってやるよ」

 吐息と一緒に耳に吹き込み、耳朶を軽く噛めば、びくりと下でわななく体。
 急におとなしくなったのは、甘い期待か本能か。

「舌、出せよ。吸ってやるから」
「っ…」
「早くしな」

 赤くなった頬を隠したいのか、顔を背けていたものの、俺の言葉におずおずと控えめに舌を出した。

「ククッ、いい子だ」

―チュク、ちゅ…クチュッ―

 呼吸まで奪い合うように。
 深く深く、お互いを味わい、貪り合う。

「んっ、ア…はぁ」

 ボタンを飛ばさない程度には丁寧に、の服を脱がせていく。
 下着を脱がすか一瞬考えたが、が生まれた日だ、生まれたままの姿を愛してやろうと、全て脱がせる。
 自分が一糸纏わぬ姿なのに、俺がシャツをはだけただけというのが恥ずかしいのだろう、小さく丸くなって横を向こうとするのを、シーツに縫い止めた。

「やっ…放してっ」
「何故?見せろよ。お前の全てを」
「…恥ずかしいよっ」
「綺麗だぜ?どんなに着飾るより、綺麗で魅力的だ」

 鎖骨を軽く噛み、丁度心臓の上辺りに、紅い華を咲かせる。
 この身体、心全てが俺のモノである証を。
 
 頂点を上手く避け、柔らかな膨らみを揉めば、早く触れと言うように、紅い実が膨らんだ。

「触って欲しそうだな、のココは」

 ふうっと息を吹き掛ければ、震える体。
 望み通りに片側を唇に、片側を指に挟んでやり、コリコリと転がせば、甘い声が溢れだす。
 執拗に乳首だけを苛めてやれば、やがて物足りなさに脚を擦り合わせ始める。

「ククッ、下も触って欲しそうだな?それとも、舐めてやろうか?」

 俺の言葉で、自分が無意識に脚を擦り合わせていたことに気付いたらしく、顔を反らせて横を向く。

「カラダは正直なもんだなぁ?」
「あぁんっ!」

 何の前触れも無く肉芽を摘めば、嬌声が上がる。

「まだ大したことしてねぇってのに、随分濡れてるじゃねぇの。ヌルヌルして指が滑っちまう」
「やぁん、アッ…はぁっ」

 そのまま指を動かし、膨れてきた肉芽を引っ掻いたり潰しては摘んで揉んだりと遊んでやると、その度にビクビクと震えて声を上げる。
 もう暫らく遊ぼうかとも思うが、の体力を考え、パクパクと収縮する蜜口に指を滑り込ませた。

「ふぁ、ぁあっ…ンッ」
「おっと、あんまりヌルヌル滑るんで、間違っちまった。抜くか…?」
「やっ!」

 言葉と共に内壁が、離すまいと指を締め付ける。
 ホント、体は正直だな。

「冗談だ。本当は…この中の蜜がどれだけあるか調べようと思ってな」

 そう言って笑うと、中の指を激しく出し入れし、蜜を掻き出す。

―ジュブッ、ジュプッ、ぐちゅっ―

 粘着質な水音を響かせ、ぬかるみを犯す。
 空気と蜜が交ざり、白い泡が蜜口を覆いだした頃、

「あっ、あぁっ…はっ」
「掻き出してもキリがねぇな。際限無く出てくる」

 の泡立つ恥部から指を引き抜く。

「あぁん」

 名残惜し気な抗議の悲鳴。
 それもそのはず。

「おいおい、今日は随分と余裕がねぇなぁ?イク寸前で止められんのは、そんなに辛かったかよ?」

 ククッと笑い、引き抜いた指に絡み付く愛液を、見せ付ける様に舐めてやれば、頬を染めて嫌だとそっぽを向く。
 可愛いヤツだ。
 一つ一つの仕草全てが、何故か可愛いく、俺を煽る。
 恥じらう姿は加虐心を、従順な態度に征服欲をそそられる。
 今までのどの女にも、これほど心は動かなかった。
 だが今は、

「キモチヨクして欲しいんだろ?なら、ちゃんと俺を誘ってみせろよ。脚を開いて、イヤラシく、涎垂らして咥えたがってる下のクチ、見せてみろ」
「やっ…できるわけっ」
「ない、ってんなら、このまま熱い体持て余してろ。俺は一向に構わねぇんだぜ?」

 わざと恥ずかしがるような言葉を選び、真っ赤になって涙目に俺を睨むを見据える。
 薄く笑みを浮かべ、どうすると問う代わりに、割れ目をスッと撫でた。

「ふぁっ…」

 直ぐにまた手を離すと、観念したのか、立てた膝を少しずつ開く。
 だが、小刻に震える脚は、いくらも開かないうちに動きを止めた。

「何だ?これじゃお前の弄って欲しいトコロが全然見えやしねぇ。まさかこんなんで終りじゃねーよなぁ?ちゃんと弄って欲しいなら、限界まで開いた上で指突っ込んで自分で拡げて見せな。それができねぇなら、ここまでだ」
「そんなっ!ひど…」
「アーン?なら、これで止めてもいいんだぜ?それが嫌なら早くしろ」

 そう言うと、観念したのか、我慢も限界にきただけなのか、ゆっくりと、だが着実に脚を開き出す。
 何もしなくても中の襞が見えるほど開いた頃、脚の動きは止まった。

「ほら、さっさと指突っ込んで拡げろよ」
「っ!…ンァ」

 恐る恐るといった風に、自分のソコに指を入れて広げるに、ゾクリと肌が粟立った。
 くぱっと嫌らしい音を立てて口を開いた蜜部は、持ち主に似て愛らしい。

「良くできました、だな。綺麗なピンク色した壁から、透明な蜜が溢れて来るのがよく見えるぜ。味見でもしてみるか?」

 そう言って、会陰を伝う蜜を舐めとり、そのまま舌を胎内へ差し込む。
 ビクリと震え、抜こうとする指を掴み、限界まで拡げると、大きく開いた膣口をグリグリと押すように舐め回す。

「やあぁっ、ふっ」

 陰唇に唇を合わせ、溢れだす蜜を啜れば、一際高い声が漏れた。

の此処はだらしがねぇなぁ?綺麗にしてやってんのに、直ぐに溢れてぐちゃぐちゃ、キリがねぇ」

 手の甲でぐいと唇を拭いながら言えば、赤い顔して泣きそうな目が俺を見る。
 やめろよ、わかってんのか?
 そんな可愛い顔すると、もっとイジメてやりたくなる。

「でかいのでちゃんと塞いでやるよ。お前も入れて欲しいんだろ?」
「ほ…しい」
「ククッ、淫乱め」

 素直に頷いたの頬をそっと撫でると、手早くゴムを着け、涎を垂らして待ち受ける入り口に自身をあてがう。

「ンッ」
「腰、動いてるぞ?欲しいのか?」
「…」
「言わなきゃこのままだ」

 浅いところを突いてやれば、嬉しそうに内壁が絡み付く。

「どうするんだ?」
「けぃ、ご…の、ぃ…れて」

 追い討ちが効いたらしく、小さな声で返事が聞こえた。
 そろそろ俺も限界だ、ここまで来て焦らすようなことはせず、合図の代わりに額に接吻け、ゆっくりと奥まで入れていく。

「あぁっ、ゃあ…」

 最奥にたどり着くと、の乱れた髪をそっと撫でてやる。
 すると、堪えるように閉じていた瞳を開き、俺と視線を合わせると、声無き声で呟いた。

『す・き』

 あぁ、もう…

 そこからは、焦らすだとか、攻め方を考えるような余裕はなく、傷つけないようにするだけで精一杯で、ただひたすら、を鳴かせ続けた。
 半ば気を失う様にして、絶頂からそのまま眠った彼女を見つめる。
 せっかくの誕生日、一々可愛い反応をするから、つい苛めすぎてしまったが、お前は楽しめたのだろうか?
 お前を大切にしたい、この気持ちは伝わっているのか?

 …らしくない。
 だが、こんな自分も悪くはない、と思う。
 俺の余裕を奪うのが、他ならぬお前だから。

 俺に本気の恋を、人を愛すという事を教えてくれた女。
 HappyBirthday.

 最愛の、お前が生まれし今日を慶ぼう。



終わり



お友達の誕生日プレゼントとして書いたモノ。言葉責め…のつもりだったんだけどなぁ??

2009.3.7

モドル